FXにはたくさんの通貨ペアがありますが、違う国の通貨ペア同士がなんとなく似たような動きをするな~なんて違和感を感じたことはありませんか?
実はそんな違和感はなんとなくではなく、相関関係というものによって成り立っているんです。「ある通貨が上昇したらこの通貨も上昇しやすい」「ある通貨が下落したらこの通貨は上昇しやすい」といった通貨の相関関係を知っているだけで、トレードする際の根拠にもなりますよね?こういった相関関係を理解することで、トレードの精度を格段に上げることができるんです!
FXは通貨を通貨で売買する取引だから通貨
ペアには何通りもの相関関係がある。
取引対象の通貨ペアだけを見るだけでは、
稼ぐ のは難しい。
どの通貨ペアが今の主役相場なのかを見極
める必要がある。— じゅん@EA×新NISAで資産構築へロケットスタート (@simple__fx) January 15, 2024
トレードで有効な通貨の相関関係について解説します。
・チャートは相互の通貨が関連して動いてる
・通貨のパワーバランスを意識して危険なエントリーを避ける
・相関関係にある通貨を知ることで分析の一つのメドになるぜひトレード分析に活かしてください。https://t.co/BdBRP0wDy6
— FXスタートアップ講座 (@Tousi_Nyumon) January 6, 2024
上記のように、トレードに通貨間の相関関係を根拠として取り入れているトレーダーは多くいます。
本記事ではFX取引で相関関係を持つ通貨ペアと、なぜ相関関係が起こるのかを初心者でもわかりやすく解説し、実際のトレードにどのように活かしていけばよいかをお伝えしていきます。
FXにおける相関関係とは
FXにおいての相関関係には正の相関関係(一方が上がるともう一方も連動して上がるもの)と負の相関関係(一方が上がるともう一方は下がるもの)があるんです。わかりやすくチャートで解説します。
正の相関関係
正の相関関係の例でポンド円とユーロ円のチャートを表示しました。
なんとなく見ていただければ分かると思いますが、全く違う通貨なのに、だいたい同じような動きをしているのが分かると思います。ポンド円が上がるとユーロ円も上がっている。※逆の動きも含む
こんな関係性を正の相関関係と呼びます。
負の相関関係
逆に負の相関関係の例でドル円とユーロドルのチャートを表示しました。
こちらは先ほどの正の相関関係とは逆で、ドル円が上がるとユーロドルは下がっています。※逆の動きも含む
このようにどちらか一方の動きと逆の動きになるものを負の相関関係といいます。
※注意点として、相関関係があるからと言って必ずしも上記の動きに当てはまるということではありません。あくまで傾向と捉えておきましょう。
正の相関関係になりやすい通貨ペア
正の相関関係になりやすい通貨ペアで一般的なものには下記通貨が挙げられます。※その他にもありますがよく使うものを取り上げています。
・ユーロ円 × ポンド円
・豪ドル円 × ニュージー円
・ユーロドル × ポンドドル
・カナダ円 × 豪ドル円
・人民元円 × 豪ドル円
・ドル円 × ドルインデックス(DXY) ※応用編
上記で挙げた通貨は比較的正の相関関係になりやすい通貨ペアになり、これにはちゃんと理由があります。
ユーロ円 × ポンド円
ユーロ(EU)とポンド(英国)は同じヨーロッパ圏の通貨でり、経済的に密接した関係があります。そのため同じ経済的影響を受けやすい特徴があります。※ユーロドル × ポンドドルも同様のことが言えます。
豪ドル円 × ニュージー円
オーストラリアとニュージーランドが同じオセアニアの国であり、ニュージーランドはオーストラリアへの貿易依存度が高いです。またどちらの国にも共通しているのが、中国が最大の輸出相手であることです。したがって中国経済の影響も受けやすいといった特徴があります。※人民元円 × 豪ドル円も同様です。
カナダ円 × 豪ドル円
どちらも資源国であるので、例えば原油の減産など資源に対してマイナスのニュースが出てきた際は、資源国には影響が少ないことから資源国の通貨が買われやすいといった正の相関関係が生じることが多々あります。
ドル円 × ドルインデックス(DXY)
通貨ペアとは少し違い応用編です。ドルインデックスはドル指数と呼ばれ、他の主要通貨に対してのドルの総合的価値を表した指数になります。そのため、ドルインデックスが上昇しているときはドルの価値が上がっているという見方をされ、結果的にドル円に対しては正の相関関係になっていることが多いです。
負の相関関係になりやすい通貨ペア
負の相関関係になりやすい通貨ペアで一般的なものには下記通貨が挙げられます。※その他にもありますがよく使うものを取り上げています。
・ドル円 × ユーロドル
・ポンド円 × ユーロポンド
・豪ドル円 × ユーロオージー
・ドル円 ×ゴールド ※応用編
上記で挙げた通貨は比較的負の相関関係になりやすい通貨ペアになります。
理由は正の相関関係と同様で、国同士の経済的な結びつきがあるためがほとんどです。
ドル円 × ユーロドル
ドル円とユーロドルにはきれいな負の相関関係があります。どちらの通貨にもドルが関係しているのでドル起因による変動においては、ドル円とユーロドルは逆相関の動きになりやすいです。逆にユーロや円起因による変動では、あまり影響は受けにくくなっています。
ドル円 × ゴールド
応用編です。円とゴールドは安全資産という役割を持っています。
※安全資産とは、名前の通りで元本割れするリスクが少なく、価格の変動が少ない金融資産を指します。
リーマンショックや、コロナショックなど大きく相場が変動する際に、投資家たちは元本が目減りするリスクが少ない金融商品(安全資産)を買う傾向があります。その際にドル円は下落、ゴールド上昇しやすいといった負の相関関係になりやすい特徴があります。
※最近では基軸通貨であるドルや、永世中立国であるスイスの通貨(スイスフラン)も安全資産として買われたりするので絶対的な相関関係があるとは一概には言えません。
相関関係を使ったトレードへの活用方法
次に相関関係を知ったうえで、どのようにトレードに活かしていくのかを解説します。
エントリーの根拠として相関関係にあたる通貨を確認する
例えばドル円が上昇トレンドを形成していたとします。ユーロドルは負の相関関係になりやすい通貨なので見比べてみましょう。
こちらは日足チャートですが、鏡に映したような負の相関関係になっています。
四角で囲った画像を見てみましょう。トレードの基本は順張りなので、このような状況の時にドル円をロングするシナリオを立てますよね。ただ、もし仮にユーロドルが上昇トレンドまたは上昇転換していたら逆相関の話を聞いた後でもロングしていくでしょうか?
私であれば見送ります。
今回のチャートでは、ユーロドルもきれいな下降トレンドを形成しているので、ドル円はロング、ユーロドルはショートしてよさそうだと根拠の1つとして判断することができます。
このようにエントリーを狙う際に、相関関係のある通貨ペアがどういった動きをしているかをチェックすることで、エントリーを狙っている通貨の優位性を確認でき、結果としてトレードの精度が高まるということです。
相関関係を利用することでリスク分散を行う
相関関係を活用したトレードでよく使われるのが「リスク分散」です。相関関係でリスク分散??となる方も多いと思います。投資において、大事な資金を守るために分散投資を行うのはよく使われる手法です。
例えばユーロ円とポンド円について見てみましょう。
この2通貨ペアは正の相関関係が強い通貨だとお伝えしました。ちょうど今、ユーロ円を買っていけそうなタイミングが来たとします。損失を証拠金の5%まで許容したとしても、下がってしまった場合には損失の5%すべてをユーロ円という1通貨ペアで追うことになります。
同タイミングで、相関関係の強いポンド円も買えそうなタイミングであれば、資金量をユーロ円とポンド円に半々にすることで、損失の5%をユーロ円とポンド円に2.5%ずつ振り分けることができます。
両通貨ペアとも上がってくれればベストですが、ユーロ円は下がって損切、ポンド円は上がったなんてこともあり得ます。※相関関係は絶対ではないため
そうした際にユーロ円1点集中だと、5%の資金を失って終わりです。ユーロ円とポンド円に分散投資していれば、損失は2.5%で、残りはリターンとなり、リスクを減らすことができます。
期待値を追いかける投資の世界においては、期待値のあるものは試行回数を上げることで期待値に集約していく傾向があるので、ユーロ円1点集中よりも、相関関係を利用した分散投資を行うことでトレードにおけるリスクを分散することができます。
※相関関係は絶対ではないので、根拠がないときに相関関係に当たる通貨に無理に分散投資する必要はありません
通貨の相関関係はインジケーターでも確認できる
ここまで実際のチャートを基に相関関係を説明してきましたが、実際にインジケーターを使用して相関関係を把握することもできます。
チャートアプリのtradingviewでは、インジケーターで「CC」を使用することで、相関関係を簡単に見ることができます。
上記のようにドル円とユーロドルの相関関係を見ることができます。
負の相関関係になりやすい、ドル円×ユーロドルでも、正の相関関係を形成している時もあるので、必ずしも負の相関関係になるとは言い切れません。これはほかの通貨ペアも同様です。
-1~1の間で表示されている数字は相関係数といい、1に近づくほど正の相関関係が強く、-1に近づくほど負の相関関係が強いと判断できます。正の場合は0.7~1、負の場合はー0.7~-1の間が特に強い相関関係を示す数字になるので、インジケーターを使用する場合は、強い相関関係を示すときに着目してみると取引がしやすくなります。
通貨の相関関係まとめ
ここまでFXにおける通貨の相関関係を解説してきました。たくさんある通貨ペアの中には正の相関関係になりやすい通貨と、負の相関関係になりやすい通貨が多数あることが分かったと思います。
トレードへの活用方法でもお伝えしましたが、こうした相関関係を知っているか、いないかでトレードの精度に大きな差が生まれます。
通常のテクニカル分析に加え、相関関係をマスターすることでトレード精度を高めていきましょう!